11・9 東京都建設局・第五建設事務所(五建)によるカリコミ=叩き出しを許さず仲間の小屋を守る

11・9東京都建設局・第五建設事務所(五建)によるカリコミ=叩き出しを許さず仲間の小屋を守る


 東京・山谷日雇労働組合

 

「特別清掃」と称する叩き出し

 

 山谷地区から東方2キロほど離れた隅田川白鬚橋河川敷では野宿を強いられている日雇いの仲間が仮設の小屋立てをして暮している。
 東京・山谷日雇労働組合に結集する組合員の仲間も住んでいる。
 この白鬚地区では、隅田川流域の管理を担当する東京都建設局・第五建設事務所(五建)が2ヵ月に1度「特別清掃」と称してカリコミを行なっている。あらかじめ告知された「特別清掃」当日に、小屋を建てていたり、荷物を置いていたりした場合は、五建が清掃業者を使って家財道具を含めて全て「ゴミ」として撤去し、更地にした上で、その場所に二度と住めないように立ち入り禁止のバリケードや仮囲いを行なうのだ。そのためこのカリコミの当日には白鬚地区で小屋立てをしている仲間、また荷物を置いて野宿している仲間はあらかじめ小屋をいったん取り壊したり、荷物を移動したりしなければならない。
 11月9日は、その「特別清掃」の日に当たっていた。白鬚地区では首都高速下の空き地や堤防沿いで野宿している仲間たちが前もって荷造りしたり小屋の解体の作業をしてカリコミに備えてきた。
 東京・山日労と山谷の仲間たちは、白鬚地区に住む組合員の仲間とともに、前日の早朝から白鬚地区に集合し、小屋をばらしたり、資材や家財道具の荷造りなどの作業を共同で進め、カリコミへの監視行動とその後の小屋の組み立てなどの段取りをすませて当日を迎えた。

 

五建のカリコミを粉砕

 

 9日、午前9時には五建、墨田区役所、向島警察と「特別清掃」を請け負っている業者・作業員・ガードマンが隣接する白鬚団地敷地内で「朝礼」を行なっていた。「朝礼」後にはすぐさまその日の「清掃」エリアである白鬚橋北側からスタートして、1キロメートルほど上流にかかる水神大橋までを集団で巡回しながら「特別清掃」に着手していく。五建は、解体していない小屋を発見したらすぐに業者に指示を出して、解体―撤去の作業をさせていくのである。向島警察も動員されているのは、自分の小屋を防衛するために抵抗する労働者が現れた場合、問答無用で弾圧し抵抗を排除するためだ。
 組合員の仲間の小屋は白鬚橋と水神大橋のちょうど中間の地点にある。
 9時50分ころ、下流から巡回してきた五建らが姿を現した。山日労と仲間たちは毅然として連中らと対峙しながら不当な撤去を許さず監視と防衛の体制をとる。この一帯には組合員の他に数軒ほど小屋立てをしている労働者がいるが、今回のカリコミに備えてこれらの労働者たちもあらかじめ片付けもすませて、カリコミ後の小屋の復旧の作業のために待機している。
 五建らに対して撤去、叩き出しの介入を許すことなく、五建らは仲間たちの資材などに手をかけることもできず、その場を立ち去るしかなかった。山日労と仲間たちは団結の力で今回も組合員らの空間を守りきったのだ。

野宿労働者への襲撃を許すな

 

 水神大橋へと移動し始めた五建らの動きを確認すると、すぐさま小屋の組み立て作業に仲間たちは取りかかった。小屋の基礎部分をもう一度組み直し、レベルを測りなおし、柱やハリの材料を声をかけあい手渡しで組み立てていく。戸板、壁板、天井板などの部材を加工し直しながら仲間たちはテキパキと復旧の作業を進行させていった。作業の合間には一服も入れながら、仲間が手作りで用意した昼食を平らげて、午後の作業を再開していく。冬に向かう晩秋で日没時間も早くなっている。手元が暗くなる前に、その日までに完了させるべき作業内容を決め、やりきって、残された作業の段取りを確認して、カリコミ当日の作業を終了していった。
 恒常的なアブレのためにドヤやアパートに住めなくなった日雇い労働者が自力で生きのびていくため白鬚地区のような空間を〈占拠〉している。こうした日雇い労働者、野宿労働者への行政の対応は、五建などがやっているようにカリコミ、叩き出しの政策だ。そして、こうした行政の叩き出し攻撃を間近に見ている中・高校生らによる野宿労働者への襲撃も後を断たない。白鬚地区でも夏休みなど学校が休みになる時期にはこうしたガキどもによる襲撃事件が最近も頻発している。おれたちは行政権力による叩き出し攻撃やガキども、酔っ払いによる野宿労働者への襲撃を絶対に許さない。仲間たちの団結の力で仲間たちの空間を守りぬいていく。
 そもそも、野宿同然の生活へと追いやってきたのは、予算を削って日雇いの仲間たちから仕事を奪ってきた行政だ。また、低賃金やピンハネで現場の労働者に重労働を押し付け利益を独占している建設資本だ。おれたちは行政に対して、建設資本に対して「仕事よこせ」の要求をぶつけて闘っていく。これから冬の季節を迎える。野たれ死に攻撃を許さず、越年・越冬闘争にむけて山日労と山谷労働者の団結を打ち鍛え闘いぬく。