投稿 パナソニックは吉岡力さんに対して行った人権侵害について謝罪できるのか否か?

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パナソニックは吉岡力さんに対して行なった人権侵害について謝罪できるのか否か?

 

 2009年12月18日、極めて不当と言わざるを得ないが、吉岡力さんがパナソニックPDPとの地位確認を求めて闘っていた法廷闘争は「『偽装請負』は違法な契約だが有効である」などというでたらめな最高裁判決が下された。最高裁判決後、吉岡さんは闘いの場を最高裁から労働委員会に移したが、「吉岡さんとパナソニックとの間に雇用関係は認められない」と認定した最高裁判決に基づいて、労働委員会も反動化した不当な命令を吉岡さんの事件に限らず、「非正規雇用」を巡る問題で出し続けているのが現状である。 「非正規雇用」を巡る問題で、ある意味「違法な契約をしても使用者にお咎めなし」というお墨付きを与えた判決が吉岡さんの裁判で下された後、「非正規雇用」労働者の労働条件を巡る問題はますます悪化の一途を辿っているが、「非正規雇用」労働者だけでなく、「正社員」もいつ首を切られるかわからないという世の中になったのではないか。
 昨年末、朝日新聞は一面記事でパナソニックなどの大企業における「追い出し部屋」の問題を大々的に報道した。「『非正規雇用』労働者の問題は全労働者の問題」という発言を龍谷大学の脇田滋教授の講演で私は聞いたことがあるが、まさに「追い出し部屋」の問題はその典型例だと私は感じている。
 話を吉岡さんの労働委員会闘争に戻すが、2013年1月29日に吉岡さんの事件における中労委の調査が行なわれたが、非常に驚くべき大きな展開があった。吉岡さんから中労委に出された提案は以下のものとなる。
 ①雇用関係は求めない。②金銭要求もしない。③但し、最高裁判決で認定された「報復目的で行なった不法行為」、いわゆる人権侵害(隔離テント)について謝罪をすること。④また、今後このようなことは一切しないと誓約すること。
 私は吉岡さんと付き合いがあるので、吉岡さんが中労委に提案した内容についてその真意を聞いてみた。
 「別件の事件ですが、オリンパスコンプライアンス訴訟においては、公益通報したことに対する報復人事の問題について、労働者側が最高裁で完全勝訴しているにもかかわらず、オリンパスは最高裁判決後もさらなる不当配転を平然と行なうという問題が起こっています。もし、パナソニック側が私が提案した和解案に同意すれば、オリンパスコンプライアンス訴訟もそうですが、大きな社会問題となっている『追い出し部屋』の問題に対しても大きな社会的影響を与えることになると思いますし、そうしなければならないと考えています」(吉岡力さん)。吉岡さんは「追い出し部屋」の問題が社会問題化している雇用情勢も睨みながら、大きな方向転換を決断したのだと思うが、この決断を下すのに相当の決意をもって行なったのだと思う。
 次はパナソニック側が吉岡さんが決意をもって下した決断に対して回答する番だが、パナソニックは吉岡さんが大幅に譲歩した決意(「人権侵害」に対して謝罪と今後そのようなことはしないという誓約を求めただけの当たり前で実にわかりやすい要求だと思いますが・・・。)に応える企業なのか、オリンパスと同じく「人権侵害」に対して謝罪すらできない企業なのか、次回の中労委の調査は3月8日の11時からだが、「私の闘いは日本で働く労働者が人間らしく働くことができるのか、それとも奴隷のように働かされるのかを決める闘いです」と訴えながら闘い続けている吉岡力さんの一ファンとして私は注目している。
(投稿者)闘争か、しからずんば死か