寄稿 「やっぱりひとりから始まる そして人から人へ」

寄稿 やっぱりひとりから始まる そして人から人へ
~壊憲・石原教育行政「破壊的教育改革」を止めるのは?~

 

「日の丸・君が代」処分取り消し裁判原告 八王子保育教育を考える会事務局  
                                     河原井 純子
 
 6月30日、本郷文化フォーラムで「憲法第九六条『改正』・自民党憲法草案に異議あり!『憲法寄席』と仲間たち・壊憲阻止」の集会があった。とても内容の濃い構成であった。ここには「変革は文化の力で」という主張がある。(一)「歌は何のために~フランスのジョリモーム路上コンサート」上映会(二)憲法寄席劇「たかし君の校則改正草案~国がやるならぼくもやる」〈たかしさんの担当と保護者(母親)とのやりとり〉(三)憲法トーク 山口正紀さん(ジャーナリスト)と村松比奈子さん(憲法学者)のトーク(四)ライブ「反戦と抵抗」(歌あり、朗読あり、紙芝居、反戦演歌もとびだす)※紙芝居は「雑木林の決意―教育の営みをとりもどしたい~白澤社発行」の絵本を紙芝居に仕立てたもので私も飛入り出演した。
 山口さんと松村さんの憲法トークは、ひとりひとりに根源的なことを問いかけてきた。「わたしたちは、いままで何をしてきたのか」そしてこれから「わたしたちは何をしていくべきなのか」と全身に迫ってきたのである。「一刻もはやく」である。
・若者の貧困(非正規労働者の増大)と格差社会のなかで「労働者」の意味も言葉の概念も消失して久しい。「権利の主張・実現」などあり得ない状況(学校教育に問題ありと指摘する)。
・壊憲の危機の深まる現況のなか、護憲派の憲法学者の発言や動きが鈍い原発問題で、わたしたちは「専門家」という人たちに任せていると「命」まで奪われてしまう事を痛い程学んだ。いまこそひとりひとりが「憲法とは何か」「自民党憲法草案とは何か」を学びとり、そして人と人とつながって行動提起をする時である。
 どんな「命令」や「指令」にたいしても、ただただ服従することはやめて、「おかしい」「変だ」と思ったら「NO」と表明してできる事で抵抗し続けていく。
 その言動は必ず人から人へ、人から人へとつながっていく。私の主張する「雑木林」から「雑木林」へである。
 私は「2003年10・23通達(日の丸に正対して君が代を歌え)」の命令にどうしても従うことができず「不服従」の表明のひとつとして「不起立」をした。私は子どもたちや青年たちと過ごした38年間(3年間は施設労働者・35年間は教育労働者)「おかしい事」や「変な事」には「NO」「イヤダ」と言って「抵抗していいんだよ」といろいろな授業や事象を通して学び合ってきた。だからこそ子どもたちや青年たちを、そして私を裏切ることなど決してできなかったのである。
 その結果、累積加重処分が強行された(一回目戒告、二回目減給10分の1の1ヵ月、三回目減給10分の1の6ヵ月、四回目停職1ヵ月、五回目停職3ヵ月、六回目停職6ヵ月、七回目停職6ヵ月)。
 私は「停職3ヵ月」の時から、石原教育行政の「破壊的教育改革」の惨状を全国の人たちと共有して行動提起をしたく、北は北海道から南は沖縄まで全国行脚にでている。そのなかで若者たちとつながる事ができた。八戸で出逢った青年の「河原井さん、なぜ『君が代』で不起立するのですか」の問いに、きちんと向き合おうと考えて「味噌づくりと憲法学習会」を提案して、その青年たちとの「学習会」はなんと3年目に突入している。若者たちも少しずつ拡がっている。「どんな含畜のある憲法でも棚の上に置いとくだけでは、ただの紙切れ同然。わたしたちの日常生活に、職場に、地域に活かしてこそ憲法!!」と確認しあっている。まだまだ道中半であるが、とっても楽しい「味噌づくりと憲法学習会」である。もっともっと深めていきたいと考えている。
 全国行脚には数々の同行(者)がいる。今回、あらたに絵本・紙芝居「雑木林の決意~教育の営みをとりもどしたい」が仲間入りした。「がんばらない・あきらめない・たのしみたい・つながりたい」はいまも貫いている。
 最後に絵本になった長い長い「詩」を紹介したいと思う。
「やっぱり すべて ひとりから始まる そして人から人へ」であり「雑木林」から「雑木林」への拡がりを願いつつ‥‥。

 

決してあきらめず
雑木林の決意 
河原井 純子

 

世界人権宣言第一条
「すべての人間は生まれながらにして
自由でありかつ尊厳と権利とについて
平等である」を
実現するために
わたしたちは決してあきらめない
社会は学校は雑木林でありたい
多種多様な雑木が
共生共存できる雑木林
「障がい」があってもなくても
あたりまえに共生・共学のできる
社会や学校をつくりだしたい
一刻もはやく
今ここにわたしたちは雑木林となる
児童憲章
「児童は人として尊ばれる」
「児童は社会の一員として重んぜられる」
「児童はよい環境の中で育てられる」
子どもの権利条約第一三条
表現情報の自由
「子どもは表現の自由への権利を有する」を
実現するために
わたしたちは決してあきらめない
子どもたちひとりひとりの声に
耳を傾け
じっくりと向き合って
とことん対話する
命令しない命令されない
差別しない差別されない関係を
子どもたちと創り続ける
どの子の命も大切に大切に
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥   

育まれる雑木林
今ここにわたしたちは雑木林となる
すぐとりもどそう
 四七教育基本法
「教育は不当な支配に服することなく

国民全体に対し直接責任を負って行

なわれるべきものである」
とわに守ろう
憲法第九条
「戦争の放棄軍備及び交戦権の否認」を
実現するために
わたしは決してあきらめない
教室は雑木林
子どもたちの命の鼓動・雑木林
雑木林を戦場にはしない
改憲への道を
戦争への道を
拒否する
渾身の力を込めて
二〇〇三・一〇・二三通達に服従しない
雑木林が雑木林で生き続けるために
あなたがあなたで生き続けるために
わたしがわたしで生き続けるために
今ここにわたしたちは雑木林となる
どこまでもどこまでも
どこまでもどこまでも連なっていく
雑木林から雑木林へ
「君が代」解雇を阻止する
雑木林から雑木林へ
雑木林から雑木林へ