「乾坤一擲」

乾坤一擲(けんこんいってき)


 日本最大の寄せ場=釜ヶ崎で大阪市長・橋下が「西成特区構想」にもとづく「センター縮小・移転」という攻撃をかけてきている。釜ヶ崎の「センター」(あいりん労働センター)は、寄せ場労働運動が1970年代に日雇い労働者の朝の就労過程を支配していた暴力手配師との実力攻防に勝利して以来、拠点としてきた場所だ。悪徳業者を大衆的に追及する闘いが幾度となく闘われてきた。その「センター」に「老朽化―耐震性の問題」が発生していることを「好機」とばかりに、橋下は「センター縮小・移転」を強行しようとしている。▼橋下は、「西成特区構想」を「人口が減り、高齢化が進み、どんどんすたれていく西成の問題を一挙に解決する」と押し出している。だが、実際にやろうとしているのは、「経済性の重視」を大前提としたうえで「治安対策、不法投棄、公園テント・小屋掛けの平和的解決」と「センター規模の縮小、民間資本・資金を導入した新今宮駅前再開発」の同時推進だ。これは釜ヶ崎に対する〝浄化運動〟であり、失業・野宿を不断に強いられる寄せ場労働者が〝拠り所〟としてきた「センター」を奪い取る攻撃であり、寄せ場労働運動解体攻撃だ。すでに監視カメラの増設や、「不法投棄監視」事業に釜ヶ崎労働者を動員する攻撃が始まっている。▼寄せ場・日雇い労働者は建設・港湾資本の使い捨て攻撃や「本工主義」労働運動からの排除をうけつつも、絶望することなく「一人の野垂れ死にも許さない」という団結を形成し、闘いを貫徹してきた。その底力をもって反撃を組織し、橋下のもくろみを木端微塵に粉砕しなければならない。(山崎)