乾坤一擲

乾坤一擲 


 日本経団連が、2015年春闘に対する日帝資本の指針である「経営労働政策委員会報告(経労委報告)」を発表している。「生産性を高め、経済の好循環を目指す」というサブタイトルに見られるように、今年の「経労委報告」のキーワードは「生産性向上」だ。▼日本経団連会長・榊原は「序文」で消費税増税後の消費低迷を嘆き、「このままでは再びデフレ経済に戻りかねない」と、明らかに「アベノミクス」への期待を後退させている。そして、「今後は経済界、企業経営者の出番だ」と言い、経済界、企業経営者は「生産性向上」に邁進し、労使は「一丸となって生産性向上を目指せ」と号令をかけている。▼「経労委報告」が煽動する8時間労働制の解体―「残業代ゼロ化」を狙う「労働基準法」改悪や、年功型賃金体系解体―成果主義賃金体系導入攻撃は、戦後的「労働者保護法制」を「資本のための法制」へと逆転させ、戦後的「賃金体系」を一変させようとする攻撃だ。▼朝鮮戦争後に吹き荒れた「生産性向上運動」は、階級的労働運動を潰し、労使協調の労働運動を育成することを目的にしていた。今、日帝資本が叫ぶ「生産性向上」は、恐慌情勢に直面している日帝資本が、労働者階級に強搾取と団結も権利も労働組合もない〝労働監獄〟を強制し、わずかでも延命することを目的としている。▼この攻撃を打ち破る力は「パートナー」と呼ばれて平然としている「連合」なぞにはない。食べるものも買えず、子どもの給食費も払えず、病院にもかかれない窮乏生活を強いられている労働者の怒りを組織して資本と非和解で対決する労働組合運動が必要だ。(木村)