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韓国・民主労総、4月ゼネストを決定


 民主労総は、2月12日、定期代議員大会を開き、4月ゼネスト方針を決定した。

 ゼネストの目標は、朴槿惠政権の労働市場構造改悪と公務員年金改悪を阻止することだ。

 韓国政府・雇用労働部は昨年12月、「非正規職総合対策(案)」を発表した。その内容は「非正規職」対策にとどまらない労働時間規制の緩和、賃金体系改編を含む広範囲なものだ。

 有期労働契約については、現行の期間制限を2年から4年に延長し、労働者本人が希望すればさらに2年延長できるようにする。

 派遣労働については、「派遣制限の合理化」と称して、派遣業種を現行の32業種から、高齢者と高所得専門職についてはあらゆる業種への派遣を可能にするという「非正規雇用」拡大策だ。

 労働時間規制については、休日労働を時間外労働に含め、時間外労働を「労使合意」を条件にして8時間延長できるようにする。これによって資本の超過勤務手当の負担を大幅に減らそうというものだ。

 賃金に関しては、職務・能力・成果を中心とした賃金体系に変更しようとしている。

 さらに、解雇要件の緩和も強行しようとしている。「一般的な雇用解約基準および手続きに関するガイドライン」を作成し、資本の評価をもとにして「低成果者」と評価した労働者の解雇ができるようにしようとしているのだ。つまり、「解雇ルール」作りだ。また、職務転換や配置転換を「解雇回避努力」の一環とし位置づけ、資本の退職強要をもっての労組破壊を容易にしようとしている。

 これらの改悪を資本が容易にできるようにするために、「就業規則変更基準および手続きの簡素化」も盛り込まれている。

 公務員年金改悪の内容は4月ごろに判明するという。

 雇用労働部は、この「非正規職総合対策(案)」を労使政委員会の「労働市場構造改善特別委」に提案し、3月までに「合意」に持ち込もうとしている。

 民主労総は、この「非正規職総合対策(案)」を「仕事はさらに多く、賃金は低く、解雇もさらに簡単にするようにするのが狙いだ」と批判している。一昨年の鉄道ストに対する韓国政府の弾圧に抗議して労使政委員会から退席し、最近出席を再開した韓国労総も、「今後も引続き政府が使用者の立場だけを代弁するのであれば、 ようやく再開された社会的対話を続けるのは難しいという点を明らかにする」とコメントしている。

 このように韓国の労働対策は、安倍政府の「労働者派遣法」改悪、「残業代ゼロ化」にむけた「労働基準法」改悪などと瓜二つの「労働規制の緩和」攻撃そのものだ。

 4月ゼネストにむけて、「犠牲者対策基金」などの80億ウォンの基金を設置するために、「正規職」組合員から1万ウォン以上、「非正規職」組合員から5000ウォン以上のストライキ基金徴収を2月から4月に開始することも決定された。「金属労組」、「公共運輸労組」、「全教組」、「学校非正規職労組」などが組織化に入り、「公務員労組」は公務員年金改悪の内容が判明した後にゼネストに突入するという方針を決定した。