世界の労働運動・韓国

世界の労働運動


民主労総委員長への逮捕攻撃に屈せず、

7月ゼネスト―2015年下半期対政府闘争を闘う韓国労働運動


民主労総、「7月15日ゼネスト」を発表


 4月24日に、民主労総に加盟する69万人のうち26万人が参加してゼネストを闘った韓国労働運動は、政権への協調姿勢が強かった韓国労総も合流させ、7月に再びゼネストを闘い、2015年下半期に対政府闘争を闘いぬこうとしている。

 民主労総は、6月22日、「7月15日にゼネストに突入する」と宣言した。民主労総の首席副委員長は 、「韓国政府が6月17日に発表した『労働市場構造改悪1次計画』は、賃金ピーク制と就業規則不利益変更要件の緩和だ。 これは賃金と雇用などの労働条件を後退させ、 労働組合自体を無力化するもので、民主労総はこれを決して受け入れられない。 民主労総としてはストライキを決めざるをえない」と、ゼネストを闘う決意を明らかにした。この第2次ゼネストは、「4大要求条件」として、 △就業規則の不利益変更-一般解雇拡大ガイドライン中断、賃金ピーク制撤回、 △最低賃金1万ウォン争奪、 △教師-公務員の弾圧中断とすべての労働者の労働基本権保障、 △国民年金保障性強化および公務員年金改悪の後続対策の実施を掲げている。 


韓国政府が民主労総委員長への逮捕状を請求


 「7月15日ゼネスト」に対して、韓国政府と資本は、ゼネスト潰しの攻撃をかけてきている。

 4月24日のゼネスト直後の29日、日本の経団連にあたる「経済人総連」が民主労総の委員長と金属労組委員長を「労組法」違反と「業務妨害」の容疑で警察に告発し、これを受け、検察は民主労総委員長が5月1日メーデー集会とセウォル号文化祭などを主導したとして 「集示法」違反および「一般交通妨害」容疑で裁判所に逮捕令状を請求した。これは、ゼネストを直接の口実としたものではない。その前段の弾圧とも言うべきものだ。さらに、警察が6月10日に、同じ容疑で民主労総委員長の逮捕令状を請求した。裁判所は、警察が請求した逮捕令状をいったん棄却したが、6月22日に警察が再請求した逮捕令状については、翌日、4月24日の民主労総ゼネストと5月1日のメーデー大会を主導したという容疑(集会およびデモに関する法律違反および一般交通妨害など)で逮捕令状を発行している。警察は、民主労総委員長以外にも、民主労総役員など約20人に召喚状を発行し、民主労総大邱地域本部長、建設労組大邱本部支部長などには拘束令状が請求され、 金属労組およびソウル一般労組、建設労組活動家など4人がすでに拘束されている。民主労総委員長に逮捕令状が発行されたのは2008年以来、7年ぶりだ。 2008年7月の「米国産牛肉輸入反対キャンドルデモ」の時に、李錫行元民主労総委員長をはじめとする指導部に逮捕令状が発行された。 「米国産牛肉反対ゼネスト」と2007年「イーランド非正規職闘争」を主導したことに対して、何度か出頭を要求したがこれに応じなかったという理由だった。 この時は、逮捕令状が発行された後、警察が民主労総の周辺に兵力を配置して出入車両と人員に対する検問・検索を実施し、問題になった。

 民主労総委員長は 「全国から多くの心配する連絡が来ているが、さらにしっかり(ストライキを)組織していく。むしろ内部的に(決意が)固まる契機になるだろう」と、弾圧に屈せずゼネストを闘う決意を明らかにしている。


韓国労総との共闘で2015年下半期対政府闘争


 「7月15日ゼネスト」は、民主労総所属の全事業場が毎週木曜に昼食集会を開き、7月2日と23日にはそれぞれ全国同時多発事業場総会闘争を闘い、ゼネスト当日は広域地域別の同時多発ストライキ宣言大会を開く方式で進められる。 また、民主労総は、韓国労総との共同闘争も追求している。7月4日、民主労総と韓国労総の製造部門と公共部門は、3万人がソウルで大規模集会を開催し、2015年下半期の対政府闘争をスタートさせた。集会では、「政府の労働市場構造改革の撤回、第2段階の公共機関正常化政策実施の要求、 金融圏構造調整阻止」を掲げ、7月22日に共同でゼネストに突入すると宣言し、デモを闘った。二大労総の製造労働者の共同ゼネストは、1996年の労働法改悪阻止闘争以来、20年ぶりだ。民主労総の「7月15日ゼネスト」につづき、韓国労総も18年ぶりのゼネスト決議をしており、7月からの2015年下半期は、韓国労働運動の大規模闘争が続く。