Ⅰ部 集会に参加できなかった仲間からの連帯メッセージ

元国鉄労働者・全労交呼びかけ人 佐久間忠夫氏

 

 春闘勝利総決起集会に結集したみなさん。入院中のため集会に参加できず、もどかしさを感じています。是非、集会の成功をかちとってください。

 尋常高等小学校を卒業した14歳から国鉄の機関車の釜焚きとして働き始め、体を動かすことを生きがいにしてきた自分も、いつの間にか八五歳になりました。しかし、闘う気概に年齢は関係ありません。

 70年間労働者として生き、戦時中には米軍の機銃掃射の中を逃げ回った経験もし、〝労働組合運動は人間を大事にする運動なんだ〟ということを確信にして携わってきた者として、現在の労働組合運動に対する危機感と、われわれが目指すべき方向性を述べさせていただきます。

 第一に、「苦しくても原則を曲げないこと」です。今、民主と維新が自民・公明に対抗するために合流しようとしていますが、原則も何もありません。ただ参院選で票を多く取るための野合です。「民進党に期待しない」と答えた人が六割以上もいることは、当然のことです。自分たちの原則が正しいと思うのであれば、たとえ今は少数派であっても、それを貫き通さねば労働者からの信頼はかちとれません。私は入院中の病院でも看護師たちから「労働組合のことばかり話している」「言いたい放題だ」と言われていますが、私の「言いたい放題」は原則をしっかり守るためです。

 第二に、労働組合の指導者は、「資本と労働の対決」という階級性に立脚すること。労働者は自分たちの党を作ることを目指すべきです。労働組合の指導者になると、いつの間にか現場の労働者のことは忘れ、経営者とうまくやることばかりを考えてしまうようになってしまう。これではダメです。私は現場で事故が発生し、労働者が犠牲になったら、「自分たちの安全のための運動に限界があった。まだ、労働者を犠牲にして利益を手に入れようとする資本家たちに負けている」と反省してきました。また、戦後の労働組合運動は、社会党の影響下にありましたが、社会党は〝しっかりとした党〟ではなかった。それならば、労働者は自分たちの党を作るしかありません。

 第三に、労働者が「自分さえ良ければ」と考えてしまえば、それは、常に労働者を分断して支配しようと考えている資本家の思う壺になるということです。労働組合運動は、もちろん自分の生活を良くするための運動ですが、同時に「仲間の生活も良くしなければ」と考えなければダメです。現在の大きな組織の労働組合運動は、経営者の顔色ばかりをうかがうものになっている。「景気が怪しくなってきたから、賃上げ要求を引き下げよう」と考えている。これでは〝働く貧困層〟〝ワーキング・プア〟と呼ばれる労働者は置き去りにされることになります。労働組合運動は、一番弱い立場の労働者を大事にする運動でなくではダメです。「非正規雇用」の労働者が「労働組合は自分たちの役には立ってくれない」と感じている現状を変えなければなりません。

 「戦争法」が強行成立され、安倍は参院選の後に「九条破棄」にむけた改憲に突き進もうとしています。戦争こそ労働者を犠牲にする最大のものです。労働組合運動が先頭に立って阻止しなければなりません。

 日本の労働組合運動を真に労働者のためのものにするために、集会に結集したみなさんが奮闘されることを期待しています。