基調提起

「連合」、全労連を突破して2016年春闘を闘う基調を提起する
「連合」、全労連を突破して2016年春闘を闘う基調を提起する

基調提起

 

全国寄せ場交流会・全労交代表呼びかけ人

鈴木ギャー氏

 

  (1)

 

 春闘勝利総決起集会に結集した闘うなかまのみなさん!

 今、三度の食事もろくに取れず、病院にもかかれない労働者やその家族が一日一日と増え続けている。学校を卒業したばかりの若者が「非正規雇用」で働くか、一円の残業代も出ない長時間労働で過労死や自殺に追い込まれるような「ブラック企業」で働かざるをえない状況が強まっている。日本の5000万人の労働者のうち、「非正規雇用」の労働者は4割―2000万人を超え、そのうちの1000万人以上は1年間に200万円以下で生きてゆかねばならない〝働く貧困層〟〝ワーキング・プア〟と呼ばれる労働者だ。

 だが、安倍は、「アベノミクスで賃金が上がった」「アベノミクスで100万人以上の雇用が増えた」なぞというウソを繰り返し、「アベノミクスの成果」を強調することに必死になっている。

 

 昨年9月、安倍は「安保法制関連法」=「戦争法」を強行成立させた。その直後には「アベノミクスの第2ステージ」と称して「一億総活躍社会」なるものを打ち出した。これは、「戦争法」で自衛隊を世界中で労働者人民の虐殺に手を染める軍隊に作り変えると同時に、朝鮮半島や中東での戦争を支える国内体制=「戦時国家体制」を作り上げるという狙いを表わしたものにものに他ならない。かつて「一億総火の玉となれ」と労働者に戦争協力・戦争動員を強制したことを再び繰り返そうとしているのだ。

 資本家たちは「アベノミクス」がもたらした円安・株高によって利益を手に入れ、354兆円もの内部留保を貯め込み、株主は1年間で14兆円もの配当を手にしている。これらの金額は、本来は労働者に支払われるべき賃金を資本家たちが強奪したものだ。資本家たちはこれに飽き足らず、さらに労働者からの搾取を強めようとしている。労働者に「生涯非正規化」「九割非正規化」を強制し、「八時間労働制」を解体して「残業代ゼロ化」、「金さえ払えば首切り自由」の〝労働監獄〟を作り上げようとしている。また、安倍が「戦時国家体制」を作り上げるために不可欠とする核武装のための原発再稼動攻撃や、沖縄・名護での新基地建設、「防衛装備移転三原則」による武器輸出に加担することを「商機」として〝死の商人〟の道に突き進んでいる。

 2016年春闘は、このような安倍と資本家たちによる労働者への貧困の強制、戦争への動員攻撃を打ち砕く闘いとして闘わねばならない。本日の春闘勝利総決起集会の圧倒的成功をかちとり、2016年春闘を「生きてゆける賃金を払え!」「大幅賃上げを実現しろ!」という要求を掲げ、反戦・反合・政府打倒春闘として闘いぬこう。

 

 (2)

 

 3月16日、2016年春闘の大手企業集中回答日に経営側が示した回答は、春闘相場に影響力を持つトヨタ自動車と電機が「1500円ベースアップ」、ホンダは「1100円」と、昨年の実績はもちろん、「連合」加盟の労働組合が低めに抑えた要求額も大きく下回った。

 この経営側の回答にたいして、新聞などのマスコミは、「官製春闘の最大の狙いだった賃上げによる消費の拡大、経済の好循環、デフレ脱却は、はるか遠のき、その姿さえ見えなくなった」と論評している。まさにその通りだ。労働者の賃金は消費税増税や円安による物価上昇分を差し引くと4年連続で減少している。「ベースアップ1500円」では〝焼け石に水〟でしかなく、「アベノミクス開始から3回めの官製春闘」は「アベノミクスの破産」を刻印するものとなったのだ。

 集中回答日の記者会見で、日本商工会議所会頭の三村は「将来への不安が増した」、トヨタの社長は「経営環境の潮目が変わった」というコメントを出している。三村や豊田が口にする「不安」や「潮目」とは、中国経済の後退による「株安・円高」の進行を指している。だが、資本家たちの「不安」は、それだけにとどまらない。「株安・円高」の流れを止めるために日銀・黒田は、「黒田バズーカ」なる「マイナス金利導入」を行なった。だが、それはなんら効果を発揮せず、何も解決しないまま〝三日天下〟で終わった。三村や豊田は、もはや資本主義世界経済の危機は、安倍や日銀・黒田が思いついたあれやこれやの経済政策で取り繕うことができるような一時的なものではなく、世界大恐慌の爆発によってしか〝再出発〟できない局面に来ているという事実を突き付けられ、「不安」に襲われているのだ。

 「アベノミクスで企業が利益を上げれば労働者の賃金も上がる」なぞという「トリクルダウン」を宣伝していた連中は、「株安・円高」による収益悪化に直撃され、安倍を筆頭にして一切「トリクルダウン」を口にしなくなった。それどころか、安倍のブレーンであり、「トリクルダウン」を持ち上げていた竹中平蔵は、「トリクルダウンなんて、ありえない」「トリクルダウンを待っている方が悪い」なぞと居直り、「国民は〝おこぼれ〟を期待せず、挑戦しなければならない」なぞと言い出している。

 また、安倍は「トリクルダウン」や「賃上げ」については口をつぐむ一方、今度は「同一労働同一賃金で格差解消」なぞと言い出している。支持率を上げるためにはどんなウソでも平然とつく安倍が言う「同一労働同一賃金で格差解消」なるものは、ブレーンの竹中が露骨に言うように「正社員をなくしてしまえ」ということだ。

  資本主義世界経済の危機を労働者への犠牲の強要でわずかでも延命しようとする安倍や資本家を許さず、2016年春闘の爆発をかちとろう。

 

 (3)

 

 1月19日、日本経団連が2016年春闘に対する資本家側の指針である「経営労働政策特別委員会報告」(「経労委報告」)を発表している。「経労委報告」は、「業績が好調な企業は賃上げを」なぞと言っていた。だが、資本家たちの口先だけの「賃上げ」は、〝中国ショック〟による「株安・円高」に直撃され、3月16日の回答にみられるように、まったくの〝空手形〟に終わった。すでに、資本家たちは春闘を前にして安倍から「法人税減税」の約束は取り付けており、労働者の賃上げなぞ「知ったことか」ということだ。

 資本家たちの悪辣さは、これにとどまらない。「経労委報告」は、「人口減少下での経済の好循環と持続的成長の実現」というサブタイトルをつけ、労働力人口の減少への対策として女性や高齢者を引っ張り出し、搾取対象にすることを打ち出している。「多様な人材の活躍推進」なぞという美名の下に、女性や高齢者を「非正規雇用」で酷使し、使い捨てにしようとしているのだ。また、「働き方改革」と称して「労働時間規制の見直し」―「8時間労働制の解体」・「残業代ゼロ化」を煽動している。労働力人口の減少によって起きる搾取額の減少を、搾取対象の拡大と搾取率を高めることで延命しようとしているのだ。 また、「経労委報告」は、「総額人件費の適切な管理」を至上命題とし、労働者の賃上げ要求を封殺しようとしている。「経労委報告」が言う「年収ベースでの賃金引上げ」とは、「基本給に限らず一時金など多様な選択肢から選べ」ということであり、将来的な定期昇給の解体、成果主義賃金制度への完全移行を見据えたものだ。生活給的な要素を含んだ定期昇給の解体や成果主義賃金制度の導入は、労働者をバラバラに分断したうえで貫徹される。それ自体が労働組合の解体と一体のものだ。

 労働組合破壊と一体の定期昇給解体、成果主義賃金導入を煽動する「経労委報告」と徹底対決して2016年春闘の爆発をかちとろう。

 

 (4)

 

 「連合」は、唯一の「アベノミクス効果」であった「円安・株高」が年頭から頓挫したことに打ちひしがれている。賃金要求をめぐっては、「物価が上昇していない。景気の不透明感が強い」ことがマイナス要因だとして、昨年の要求が「2パーセント以上のベースアップ」だったものを、今年は「2パーセント程度」へと要求水準を引き下げている。「連合」は要求引き下げで日帝資本と〝運命共同体〟であることを自己暴露しているのだ。傘下の「自動車総連」に至っては、昨年の「6000円ベースアップ」要求を「3000円ベースアップ」へと要求額を半減させている。「連合」は、この要求水準の引き下げの理由を「(大企業と中小・『非正規』との)格差是正を優先させるため」なぞと言っている。中小企業の労働者、「非正規雇用」労働者を「ネタ」にして要求引き下げを合理化するための口実だ。だが、「大幅賃上げ」を闘わずに大企業の下請けである中小企業の労働者や「非正規雇用」労働者の賃上げが実現するというのか。はじめから闘う気がないことは明白だ。全労連は、共産党の「『戦争法』廃止の国民連合政府」方針に組合員を動員することだけに集中していたが、「国民連合政府」方針が頓挫し、代わって「野党共闘」に一切を集中して「大幅賃上げ」方針を放棄している。

 労働者の実質賃金はマイナスを続けている。厚生労働省が2月8日に発表した「毎月勤労統計調査」(速報)では、2015年の物価の影響を差し引いたあとの実質賃金は0・9パーセント減になっている。「経労委報告」が自慢する「2年連続の賃上げ」は、物価の上昇に追いつかない、実質的な「賃下げ」だったということだ。これで実質賃金のマイナスは四年連続だ。

 実質賃金が減少しているにもかかわらず、「連合」が「格差是正を優先させる」という口実をもっての要求水準を引き下げることは春闘破壊そのものだ。労働者が生きぬくための賃金闘争を解体し、「九割非正規化」、「生涯非正規化」、「八時間労働制解体」、「残業代ゼロ化」、「解雇自由化」と労働組合破壊を煽動する「経労委報告」と徹底対決しよう。「大幅賃上げ」を掲げた二〇一五年春闘の爆発をかちとろう。原発輸出、武器輸出を活路とする戦争翼賛の帝国主義労働運動を突破し、2016六年反戦・反合・政府打倒春闘の爆発をかちとろう。

 日本の労働者が受けている攻撃とまったく同じ攻撃を韓国資本と朴槿恵から受けている韓国労働者は、連続的なゼネストを闘いぬいている。われわれはいつまでも遅れをとってはならない。安倍は「戦争法」の制定から六月参院選の「圧勝」をもって「緊急事態条項」導入から明文改憲に突き進もうとしている。安倍の戦争にむけた突撃は、日本労働運動を戦前のような「産業報国会」型労働運動に転落させることを条件にしていることを肝に銘じ、2016年春闘の爆発を実現しよう。日本労働運動の前進・飛躍を実現するために、「非正規」争議、公務員労働運動、教育労働者運動、寄せ場労働運動、闘う原発労働者の組織化を全力で推進しよう。

 安倍の戦時国家体制形成―戦争動員攻撃と対決する卒・入学式での「君が代」不起立闘争の爆発をかちとろう。全国寄せ場交流会が呼びかける日建連、日本経団連、厚生労働省に対する3・28寄せ場春闘集中行動を闘おう。この闘いのなかから「連合」、全労連を突破して闘う日本労働運動の新たな結集軸を建設する事業の前進をかちとろう。

 

行動提起

 

3月28日(月)

全国寄せ場・日雇い労働者 対厚生労働省団交、対日本経団連・日建連追及―弾劾行動

午前7時 東京・山谷 城北労働・福祉センター前集合

 

3月31日(木)

卒業式処分発令抗議・該当者支援総決起集会

午後1時30分 全水道会館

 

4月18日(月)

東京「再雇用拒否」第三次訴訟・東京地裁判決

午後0時45分 東京地裁前集合