基調提起

「連合」、全労連を突破して2017年春闘を闘う基調を提起する
「連合」、全労連を突破して2017年春闘を闘う基調を提起する

基調提起

 

全国寄せ場交流会・全労交代表呼びかけ人

 

鈴木 ギャー氏

 

 

 

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 春闘勝利総決起集会に結集した闘う仲間の皆さん!

 3月15日、トヨタなどの自動車、パナソニックなどの電機といった大手企業が組合側に一斉に回答を行なった。

 だが、春闘をめぐった新聞記事の見出しは、「2年連続の前年割れ」「官製春闘に陰り」といったものであり、安倍の「賃上げ要請」なぞは、まったくのアリバイ作りでしかなかったことがハッキリしてきている。それどころか、「政府・経団連・『連合』が時間外労働で共同提案」「1ヵ月100時間の残業容認」といった見出しが賃金問題よりも大きく踊っている。

 安倍が「賃上げで経済の好循環を回す」と叫んでも、資本家どもは「先行き不安」を叫んで賃金の抑え込みを強めている。資本家から「経営のパートナー」と呼ばれるに至った「連合」は、賃上げ要求を控え、あげくに「1ヵ月100時間の残業を法律にできる。歴史的成果だ」なぞと自慢する始末だ。

 安倍と資本家どもと「連合」が資本主義経済を延命させることを最優先にして画策する中で、労働者は4年連続の実質賃金の低下を強いられ、「非正規雇用」を強いられる労働者は2000万人を超え、沖縄では中学生、高校生までが炊き出しに並ぶほどの貧困を強いられている。

 われわれは、もうこれ以上労働者とその家族を犠牲にして資本家どもとブルジョア政府が生き延びることを許すわけにはいかない。日本労働運動を安倍と資本家たちの「パートナー」に転落させ、「企業と国のために過労死するまで働け」「戦争を支えるために働け」と叫ぶような「産業報国会」型労働運動への道を、日本労働運動が、突進することを許すわけにはいかない。

 韓国労働運動が朴槿恵の賃下げと労働法制改悪攻撃を阻止するために連続的にゼネストを闘い、朝鮮半島を戦場にするためのミサイル防衛システム・THAAD(サード)配備阻止の実力闘争を頑強に闘い、ついには朴槿恵の退陣を実現する闘いの中心部隊になったように、日本労働運動も安倍と資本家どもの延命の道を断つ闘いの中心部隊として登場しなければならない。

 2017年春闘を、安倍と資本家たちによる労働者への貧困の強制、戦争への動員攻撃を打ち砕く闘いとして闘わねばならない。本日の春闘勝利総決起集会の圧倒的な成功をかちとり、「生きて行ける賃金を払え!」「大幅賃上げを実現しろ!」という要求を掲げ、反戦・反合・政府打倒春闘を闘いぬこう。

 

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 3月15日、自動車や電機などの大手企業が示した回答は、組合側の「ベースアップ3000円」という超低額要求さえも認めず、1000円~1500円といった回答となった。この経営側の回答にたいして、新聞などのマスコミは、「四年目の『官製春闘』は、息切れ感が一段と鮮明になった」と論評している。

 しかし、日本企業が貯め込んだ内部留保は、2016年末に過去最高の375兆円に達している。この金額は、国家予算の四年分に相当する金額だ。内部留保は、この10年間で135兆円も増えている。一方で、2016年末の「労働分配率」は、43パーセント台と過去最低水準になっている。企業は、低賃金の「非正規雇用」の拡大などで利益を拡大し、その利益を労働者の賃金に回そうとはしてこなかったということだ。このことが示すのは、「アベノミクスによる賃上げ」なぞ口先だけのものだったということである。

 そして、安倍は、四年連続の「賃上げ要請」がまったく効果を出さなかったことには口をつぐみ、資本家どもは、物価上昇に追いつかない賃金を労働者に強制しておきながら居直り、今、「働き方改革」なるものを叫んでいる。

 安倍は、この「働き方改革」を「政権の最大のチャレンジ」なぞと大げさに打ち出し、「長時間労働を是正する」「同一労働同一賃金で『正規』―『非正規』の格差をなくす」なぞと言い、それがあたかも労働者のための「働き方改革」であるかのように言っている。しかし、その目的は、安倍自身が言っているように、「生産性の向上」だ。つまり、最低限の賃金で労働者をこき使い、最大限の利益を資本家が手に入れるようにするための方策にほかならない。

 安倍は、すでに、資本家どもの要求を受け、国会に「労働基準法」改悪案を上程している。その中味は、現行の「8時間労働制」という労働時間規制から除外する職種を定める「高度プロフェッショナル制度」の創設と、実際の労働時間ではなく、「みなし労働時間」で賃金が支払われ、いくら長時間の労働をおこなっても「給料定額制の使い放題」となっている「企画業務型裁量労働制」を「営業職」にも拡大するというものだ。まさに「残業代ゼロ化」の攻撃だ。

 さらに、3月17日に、安倍が主催する「働き方改革実現会議」では、安倍と日本経団連と「連合」が「共同提案」という形をとって「時間外労働の上限を月100時間未満とする」とし、3月中に「実行計画」を作り、法制化を強行しようとしている。「1ヵ月100時間の時間外労働」は、労災で「過労死」と認定するする際の基準になっているもので「過労死ライン」と呼ばれるものだ。「8時間労働制」を解体し、「残業当たり前」「過労死するまで働け」という攻撃にほかならない。

 「アベノミクス」のペテンが満天下に明らかになる中で、新たなペテンとして安倍と資本家どもが打ち出した「働き方改革」―労働法制の大改悪攻撃を2017年春闘の爆発で粉砕しなければならない。 

 

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 1月17日、日本経団連が、2017年春闘に対する資本家側の指針である「経営労働政策特別委員会報告(経労委報告)」を発表した。今年の「経労委報告」では、人口減少への危機感をかつてなく強調している。それは、資本家どもが搾取する労働者が減り、手にする利益が減るからにほかならない。そして、それを回避する方策として資本家どもが打ち出しているのが「生産性の向上」であり、「働き方改革」なのだ。

 「経労委報告」は、「人口が減る分は、若年者、女性、高齢者、『障害者』、外国人労働者を低賃金、無保障、無権利、長時間労働の『非正規雇用』で労働現場に狩り込め」と煽動している。

 また、「柔軟な働き方の選択肢の拡大が必要」と言い、「モバイルワークや在宅勤務といったテレワークを広げろ」と言っている。これは、労働者が資本の下で労働する時間と、自分の自由にできる時間の区別をなくし、労働者の24時間を資本が拘束する労働形態であり、労働者階級が闘いととってきた「8時間労働制」を解体せよという煽動にほかならない。

 さらに、「経労委報告」は、「日本型同一労働同一賃金をめざすべきだ」と言い、年齢や経験、企業への責任、転勤の有無など、同一でないことを数々挙げて「正規」―「非正規」の賃金格差を強めることを煽動している。

 聞こえのいい「長時間労働の是正」「同一労働同一賃金」というセリフの裏で、安倍と資本家どもが狙っているのは、「過労死」するほどの長時間労働の強制であり、「仕事・役割・貢献度」を盾にした低賃金を強制し、無保障、無権利の「非正規雇用」を拡大することなのだ。まさに「九割非正規化」「生涯非正規化」の攻撃だ。

 世界の労働者が命を賭けて闘いとってきた「8時間労働制」を解体し、それを通して労働組合そのものの破壊を煽動する「経労委報告」と徹底対決して2017年春闘の爆発をかちとろう。

 

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 「連合」は、「安倍総理が提起した『働き方』に関する政策課題は『連合』と共通する」なぞと言い、安倍から「働き方改革実現会議」に誘われ、喜び勇んで参加している。資本主義経済を延命させるための「労働組合の道」を進みだし、安倍の懐に深く取り込まれ、ついには、「月100時間残業の合法化」を安倍や資本家どもと共同提案するに及んでいる。

 全労連は、「政府が『同一労働同一賃金』の実現に踏み出されたことは一歩前進である」なぞと安倍を讃え、「天皇制支持」「自衛隊支持」を内容とする共産党の「野党共闘」方針に傘下の労働者を動員することだけが「活動」となっている。

 「アベノミクス」の下で賃下げと「非正規化」を強制され、「食事の回数を減らした」「医者にかかれない」「消費者金融からの借金をかかえている」という労働者の怒りと声が聞こえず、安倍の翼賛勢力への道を転落する勢力に、いつまでも「労働組合」を名乗らせるわけにはいかない。

 資本主義経済の防衛を安倍と共に共通の目的にしたこれらの勢力が、安倍が進める「共謀罪」新設などの治安弾圧立法を容認し、改憲と自衛隊の実戦軍化、戦争翼賛勢力の育成をもっての戦時国家体制形成に加担し、労働者を動員することを許すわけにはいかない。

 2017年春闘を反戦・反合・政府打倒の闘いとして爆発させよう。安倍の翼賛勢力化を深める「連合」、全労連を突破して闘う日本労働運動の前進・飛躍を実現するために、公務員労働運動、教育労働者運動、寄せ場労働運動、「非正規」争議の前進をかちとり、闘う原発労働者の組織化を全力で推進し、沖縄・名護新基地建設、高江ヘリパッド建設を現地実力闘争に決起して阻止しよう。

 安倍の戦時国家体制形成―戦争動員攻撃と対決する卒・入学式での「君が代」不起立闘争の爆発をかちとろう。全国寄せ場交流会が呼びかける日建連、日本経団連、厚生労働省に対する3・27寄せ場春闘集中行動を闘おう。この闘いの中から「連合」、全労連を突破して闘う日本労働運動の新たな結集軸を建設する事業の前進をかちとろう。