3・26 韓国サンケンの整理解雇に抗議するサンケン電気本社抗議デモ

サンケン電気本社に対する抗議デモを闘う労働者(3月26日)
サンケン電気本社に対する抗議デモを闘う労働者(3月26日)

三軒屋公園で集会、サンケン電気本社へのデモ

 

 3月26日、午後3時から、埼玉県新座市にあるサンケン電気本社に対して、子会社の韓国サンケンの整理解雇に抗議するデモが闘われた。

 このデモを呼びかけたのは、「韓国サンケン労働組合」、「韓国サンケン労組を支援する会」、「韓国からの争議団と連帯する埼玉の集い実行委員会」だ。

 サンケン電気の韓国における100パーセントの子会社である韓国サンケンで、昨年9月30日、赤字を理由に生産現場の労働者34人が全員整理解雇された。「韓国サンケン労働組合」は、サンケン電気本社に解雇撤回を求め、昨年10月から、日本での遠征闘争を闘い続けている。

 1973年に馬山自由貿易地域に設立された韓国サンケンは、各種免税措置などの恩恵を受けながら、劣悪な労働条件、低賃金のもとで労働者をこき使い、莫大な利潤をあげてきた。韓国サンケンの労働者は、1989年に「韓国サンケン労働組合」を結成、1995年12月に民主労総へ加盟、2001年に産別労組である全国金属労働組合に加入し、労働条件の改善、賃上げ闘争などを闘いぬいてきた。こうした「韓国サンケン労働組合」の闘いに対し、韓国サンケンは民主労総からの脱退を迫ったり、労働組合員の解雇や希望退職攻撃をかけるなどの労組弾圧を繰り返してきた。そして、ついに、昨年9月には、労働者全員の整理解雇を強行してきたのだ。韓国サンケンの経営権をサンケン電気本社が握っているため、社前闘争を連日闘って、サンケン電気本社に話し合いを求めているが、サンケン電気本社は、一切話し合いに応じようとしていない。

 こうした中、2016年12月27日、韓国の慶南地方労働委員会は、その審判において最終的に「解雇は不当だ」と認定、解雇者の復職を命じた。これに対し、会社側は、2017年1月に入り、地労委の命令を不服として、中央労働委員会に提訴した。

 こうしたサンケン電気の不誠実な対応に抗議し、地労委の判定に従って解雇を撤回し、組合員を職場に戻すことを求める集会とデモが、3月26日に、闘われたのだ。

 雨の中、サンケン電気本社近くにある三軒屋公園において、午後2時に集会が開始される。

 最初に主催者として、「韓国サンケン労組を支援する会」の代表と「韓国からの争議団と連帯する埼玉の集い実行委員会」の仲間があいさつ。

 続いて、「韓国サンケン労働組合」の日本遠征闘争団の3人が自己紹介。代表して、「解雇者復職闘争委員会」の共同議長のキム・ウニョンさんが発言する。雨にもかかわらず沢山集まってくれたことにお礼を述べた後、「日本にやって来て解雇撤回のために本社前の闘いを続けて、160日が過ぎようとしている。労働者は、一つだ。労働者が団結して手を取り合えば、できないことはない。最後まで闘って勝利をかちとりたい」と決意を表明した。そして、その決意を表現する労働運動の踊り―ユルトンを3人で披露し、大きな拍手を受けた。

 3時から、デモ出発だ。200人のデモ隊列が住宅街にあるサンケン電気本社に向う。サンケン電気本社正門前では、デモの先頭が差し掛かるとあわてて門をしめるなど、予想外のデモの多さにあわてた様子が伺えた。本社前では、「整理解雇を撤回しろ!」「組合潰しを許さないぞ!」「労働者を職場に戻せ!」のシュプレヒコールが響き渡る。

 デモ隊は、シュプレヒコールをあげながら、本社前を通過し、東武東上線の志木駅前を通り、三軒屋公園に戻るデモを最後まで貫徹した。

 サンケン電気の一切の話し合いに応じない不誠実な対応を許さず、日韓連帯、国際連帯で「韓国サンケン労働組合」を支援し、整理解雇撤回134人の職場復帰をかちとっていかねばならない。

遠征団と支援の労働者によって連日サンケン本社追及が闘われた
遠征団と支援の労働者によって連日サンケン本社追及が闘われた

韓国サンケンの解雇撤回闘争とは

 

 3月22日にも、早朝午前7時15分から、埼玉県新座市にあるサンケン電気本社前において、東京・山日労と東京都地域連合労組は、昨年10月から、整理解雇撤回の遠征闘争を闘いぬいている「韓国サンケン労働組合」の社前闘争に連帯し、ともに闘いぬいた。「韓国サンケン労働組合」の日本遠征闘争団は、来日以来、連日、社前闘争を闘いぬいており、東京・山日労と東京都地域連合労組は、毎週水曜日を集中行動日として支援・連帯行動を行なっているのだ。

 社前闘争が9時30分に終わり、東武東上線の志木駅前に移動する。10時から、1時間、志木駅前で道行く労働者・市民に「サンケン電気は、不当整理解雇撤回のための話し合いに応じろ」というビラまきと当該のマイク情宣を行なう。

 さらに、池袋に移動し、池袋駅南口にある池袋メトロポリタンプラザビルに入っているサンケン電気東京事務所(海外営業部)に対して、「サンケン電気は話し合いに応じよ」という交渉のあと、メトロポリタンプラザビル前において、12時から午後1時まで昼休み集会を行なう。「韓国サンケン労働組合」のメンバーは、道行く労働者・市民に整理解雇撤回の訴えを行ない、日本の支援労組、団体から、発言を受ける。最後に、「韓国サンケン労働組合」の日本語での「整理解雇を撤回しろ!」のシュプレヒコールを唱和してこの日の闘いを終えていった。

 韓国サンケンは、日本のサンケン電気の韓国における100パーセントの子会社として1973年に韓国南部の馬山自由貿易地域に設立された。主にLED照明器具などを生産してきた。会社は、赤字を理由に、生産部門を廃止し営業専門会社に転換するとして、生産現場の労働者全員(34人、全員組合員)を2016年9月30日に、一方的に整理解雇した。しかし、この解雇は整理解雇の要件である「緊迫した経営上の必要性」や「解雇回避の努力」などがないままに行なわれた不当な解雇である。会社と労働組合の間で結んだ団体協約では、労組との合意がなければ解雇できないことになっている。労働協約に違反する違法・不当解雇であり、解雇の本当の狙いは労働組合つぶしにある。

 サンケン電気は、本社との話し合いを求めて来日し、連日、社前闘争を闘っている「韓国サンケン労働組合」と「韓国の問題は、韓国で解決すべきだ。私たちには、無関係だ」と言って一度も会おうとしていない。しかし、韓国の工場は、日本のサンケン電気が100パーセント出資した会社で、役員も派遣し、サンケン電気が管理、監督する会社だ。韓国サンケンの経営権は日本の本社が握っているため、本社と交渉しなければ問題は解決しない。「韓国サンケン労働組合」は、韓国サンケンの社長が、労働組合から逃げ回り、話合いにも応じようとしていない中で、整理解雇を撤回するには、日本のサンケン電気本社に行かないかぎり解決の道はないと、日本遠征闘争を決断し、闘いを継続しているのだ。

サンケン本社に対する抗議デモに先立って行なわれた集会(3月26日)
サンケン本社に対する抗議デモに先立って行なわれた集会(3月26日)

「韓国サンケン労働組合」の闘い

 

 「韓国サンケン労働組合」は、1989年結成、1995年12月に民主労総へ加盟、2001年に産別労組である全国金属労働組合に加入し、「韓国・全国金属労働組合 慶尚南道支部 韓国サンケン分会」として、現在に至っている。

 1996年、労働法改正闘争時に全面ストを実施。

 1997年、賃金・労働協約交渉時に、1年3ヵ月の長期争議が行なわれた。これは、金属連盟の時代に、産別労組の全国金属労働組合への転換のための最初の共同交渉を要求したが、これに対する、会社側の拒否により闘争が展開されたものである。当時、会社側は、「民主労総脱退、職場閉鎖、集団暴行、断電断水、金属連盟での初めての労働協約の一方的解除、一方的休業、希望退職」などの攻撃をかけてきていた。

 2007年~2008年、構造調整(リストラ)反対闘争。これは、3事業部の撤収、人員再配置、2年間で1年の休業、勤務形態の変更(4班3職→5班3職)、 希望退職との闘いであった。

  2009年、整理解雇反対、解雇者復職闘争。労組専従者のタイムオフ反対、 解雇者(事務長)復職闘争。

  2010年~2011年、リストラ反対、タイムオフ反対闘争。生産量減少により勤務形態の変更、希望退職攻撃。度重なるリストラにより、従業員数は500人~600人から266人になった。

 2015年7月29日、原因不明の火災が発生、生産中止のラインがある1階や主要な生産ラインがある2階は何の被害もなく、食堂と組合事務所がある3階部分だけが全焼した。以降、各種合意違反、露骨な労組弾圧が開始される。労働協約を破る不当労働行為を一方的に開始。

 2016年、生産部署の廃止、生産現場の労働者全員を整理解雇することに対する反対闘争。役員ら不当懲戒(これは地労委で勝訴し、中労委で会社側が撤回)。2016年2月5日、一次希望退職募集(組合員69人中40人募集広告)、8人希望退職、その後、希望退職募集が繰り返され、2月23日、3月18日、6月29日、8月29日と4回にわたる解雇予告状を本人に渡すのではなく、家族のいる自宅に郵送、4回にわたる希望退職書を郵送し、9月30日の不当整理解雇時には、生産現場の労働者は34人(全員組合員)となった。会社側は臨時労組事務所も 9月30日に閉鎖するとメールを一方的に送りつける。

 9月30日の解雇前まで交渉を要求したが、会社側は全く無視。同日、会社側交渉拒否、労働組合譲歩案(賃金削減、組合活動縮小など)拒否、慶南地労委の仲裁案拒否、団体協約と整理解雇一般法理に違反する違法整理解雇断行。同日、韓国の慶南地労委で「解雇は不当」と認定、同日地労委委員長名で、話し合い勧告案を出すものの会社側は受け入れず。

 再度、慶南地労委に不当解雇及び不当労働行為を申請。慶南地労委と労働省の仲裁により、事後調停5回行なわれる(2016年12月1日、9日、12日、14日、15日)。労組は譲歩案を提示したが、会社側の立場である整理解雇と生産部門廃止は変更なし。2016年12月27日、慶南地労委は、審判において最終的に「解雇は不当だ」と認定、解雇者の復職を命じた。これに対し、会社側は、2017年1月に入り、地労委の命令を不服として、中労委に提訴した。

 韓国の解雇された労働者は、日本での遠征闘争と並行して、現在も工場前でテントを張り、座り込み闘争を実施し闘いぬいている。

 

儲けるだけ儲けたら、労働者を整理解雇するサンケン電気を許すな

 

 韓国サンケンは、1973年に慶尚南道の馬山自由貿易地域に設立後、43年間にわたり各種免税や韓国の支援の下で利潤をあげてきた。

 現在,サンケン電気は、海外子会社25社をはじめ、関連会社33社でサンケングループを形成。パワーエレクトロニクス業界で確固たる地位を築いている。

 韓国では、2000年代初めの新規事業投資後には莫大な利潤をあげた。その後、サンケン電気は、韓国サンケンに新規事業や再投資を行なわず、日本で大規模工場設立と投資を行ない、生産量と利潤の減少時には、一方的な不当整理解雇を強行してきた。整理解雇のやり方も、まず、生産現場の労働者を全員整理解雇し、その後は外注化をもって生産事業を行なうというものである。労組の組合員の解雇を目的とするという労働組合弾圧のための解雇を強行してきたのである。

 日帝資本は、韓国独裁政権下、馬山自由貿易地域において、各種免税措置の恩恵を受けながら、極悪な労働条件下で、労働者をこき使い、儲けるだけ儲け、莫大な利潤をあげてきた。そして、韓国独裁政権を打倒するという韓国階級闘争の前進の中で、民主的な労働組合が誕生し、労働条件の改善、労働者の賃金アップの要求などをかちとるようになると、「うまい汁が吸えなくなる」と、韓国から一方的に撤退し、第三国に「渡り鳥」のように、食い逃げするという企業が後をたたなくなった。

 韓国サンケンも、例に漏れず、こうした企業と同じく、民主労総に加盟した「韓国サンケン労働組合」をつぶし、利潤を追求しようとたくらんだが、それがかなわないと判断するや、労働協約を一切無視し、一方的な整理解雇を強行したのである。こんなことが許されていいものか。

 自由貿易地域内の多くの外資系企業の事業所や、韓国労総傘下の事業所の人たちも、韓国サンケンの問題が一方的な整理解雇に終れば、他の事業所も一方的に整理解雇されても法律的な規制も受けられないということで注目している。

 慶尚南道の昌原市議会議員による一方的な整理解雇撤回を求める記者会見、産業資源省管理所の懇談会開催、昌原市議会での整理解雇撤回の建議の満場一致での決議、また、国会議員であるキム・ジョンフン、ノ・フェチャン両議員による日本大使館、ソウルのサンケンコリア、日本のサンケン電気本社への抗議文の郵送などの声が上がっているが、こうした地域の世論や仲裁努力を韓国サンケンは無視している。許してはならない。

 「この闘いは絶対に負けられない闘いだ。解決するまで韓国に帰らない」と「韓国サンケン労働組合」は、決意も固く、連日、闘いに起ち上がっている。日本労働者階級の責務として、この闘いを全力で支援し、闘いぬいていかねばならない。国境を越えた労働者の日韓連帯、国際連帯の闘いとして断固として闘いぬこう。〝万国の労働者は団結せよ!〟である。

                          〈東京都地域連合労働組合〉