5・9大飯原発4号機再稼働阻止現地闘争

  大飯原発ゲート前にむけたデモを闘う労働者
  大飯原発ゲート前にむけたデモを闘う労働者

5・9

 大飯原発四号機再稼働阻止現地闘争

 

反戦・反失業を闘う釜ヶ崎労働者の会

 

「反戦・反失業を闘う釜ヶ崎労働者の会」が大飯原発四号機再稼働阻止現地闘争に決起

 

 5月9日、「反戦・反失業を闘う釜ヶ崎労働者の会」は、関西電力・大飯原発4号機再稼働阻止現地闘争に決起した。

 正午過ぎ、大飯原発近くの「塩浜海水浴場シーサイドファミリーパーク」に労働者人民が続々と結集する。関西一円をはじめ、全国から反原発を闘う仲間が結集している。

 12時30分過ぎ、大飯原発に向けたデモ出発前に当たって、「大飯原発うごかすな! 実行委員会」呼びかけ人である「若狭の原発を考える会」の木原壯林氏(元日本原子力研究所副主任研究員、京都工芸繊維大学名誉教授)があいさつを行なった。木原氏は、「本日、関西電力は、大飯原発3号機に続き、4号機を動かそうとしている。原発は、必ず事故を起こします。その被害は、膨大なものだ。人の手におえるものではありません。再稼働は、絶対に許してはなりません。今日は、長丁場になると思いますが、皆さん、今日一日再稼働に反対するためにがんばりましょう」。

 12時40分になり、大飯原発ゲートに向けたデモに出発する。「釜ヶ崎労働者の会」も、「大飯原発4号機の再稼働を阻止しよう」と書いた横断幕を先頭にデモに出る。

 「大飯原発4号機の再稼働を許さないぞ!」「原発はいらないぞ!」「労働者、周辺住民への被曝押しつけを許さないぞ!」とシュプレヒコールをあげながら大飯原発ゲート前まで進撃する。午後1時過ぎにゲート前に到着し、ゲート前を制圧する。

 大飯原発のゲート前には福井県警が、二重三重のバリケードをめぐらし、すきあらばと弾圧を狙っている。

 ゲート前において、全国各地から集まった諸人士が、この日の再稼働阻止に向けた思いや、「福島第一原発事故」がいまだ収束していないにもかかわらず、ドミノ倒しのごとき再稼働を強行する電力会社や安倍政府への怒りを、それぞれの立場から発言していく。

 中嶌哲演氏(「原子力発電に反対する福井県民会議」代表)は、「今日、集まってくれた皆さんに感謝します。大飯原発3号機と、今日、動かされようとしている4号機が一年動くと、原子炉の中で『広島型原発』2000発分もの死の灰が溜まります。これと引き換えに巨大な電力が発電され、鉄塔と送電線に伝わり、関西二府四県の地域に50万ボルトの電力が送られている。関西電力には、巨額の『安全対策』のための費用が必要だが、現在、『電気の自由化』が始まって2年が経ち、3月末時点で関西電力の顧客離れが140数万件も起こっている。関西電力の電気を使っていた事業者も3割近く離れており、関西電力は窮地に立っている。関西電力の電気を買わないことも原発を止める一つの手だ。すでに動いている高浜原発3、4号機と、大飯原発3号機、再稼働しようとしている大飯原発4号機を止める出発点として今日の行動を頑張りましょう」と発言した。

 1時30分からは関西電力への「申し入れ行動」が行なわれた。実行委員を代表して「若狭の原発を考える会」の木原壯林氏が「申し入れ書」を読み上げ、関西電力に手渡した。

 午後五時になり、関西電力が大飯原発四号機の制御棒を引き抜いて原子炉を起動させ、再稼働を強行したとの一報が伝わるや、参加者の怒りは最高潮に達する。「大飯原発、今すぐ止めろ!」「関西電力、原発やめろ」「すべての原発なくせ」と怒りのシュプレヒコールを叩きつける。

 ゲート前行動の最後に、実行委員会よりの集約提起をうけ、この日の現地闘争を終えていった。

 

大飯原発4号機再稼働徹底弾劾

 

 関西電力は、5月9日午後5時、大飯原発4号機(福井県おおい町)の再稼働を強行した。2013年9月に定期検査で停止して以来、4年半ぶりの再稼働だ。大飯原発4号機は5月11日に発電と送電を開始し、6月上旬に営業運転を開始する。大飯原発4号機再稼働を徹底弾劾しなければならない。

 関西電力は、大飯原発や、高浜原発(福井県高浜町)などの使用済み核燃料を敷地内で保管しているが、大飯原発3、4号機の貯蔵プールは、約10年で満杯になるとされている。満杯になった場合、関西電力の原発で発生した使用済み核燃料を、東京電力と日本原子力発電が建設する青森県むつ市の中間貯蔵施設で一時保管するとしている。しかし、むつ市は住民感情を理由に反発しており、この計画は行き詰っている。また、大飯原発と関西電力・高浜原発は、約14キロしか離れていないのであり、大規模災害であれば同時被災も充分に考えられるのだが、事故時を想定した「避難計画」では、同時事故は想定されていない。「原子力規制委員会」の「安全審査」でも全く想定されていない。しかし、原子力防災担当相・中川雅治は、「それぞれの計画で対応可能」としており、安倍政府は、アリバイ的に大飯原発と高浜原発が同時事故に遭った場合の「原子力総合防災訓練」を今夏実施するとしている。福井県では、2月、住民の避難路となる国道8号で車1000台以上が豪雪で立ち往生し、渋滞解消に3日以上かかっているのであるが、もし、原発事故が起きれば道路は大渋滞となり、住民の逃げ場はなく、被曝を強制させられる可能性が大いにあるといわれている。

 「福島第一原発事故」後に「新規制基準」の下で再稼働した原発は、今回の大飯原発4号機を含め5原発8基となる。しかし、再稼働後や、再稼働直前になって「二次系配管からの蒸気漏れ」や「原子炉格納容器の中にある冷却水を循環させるポンプで異常発生」など、故障や異常が出る原発が多発している。これは、「福島第一原発事故」後、長期間の運転停止によって、原発の設備が経年劣化したことが原因と言われている。電力資本は、「新規制基準」に適合させるために巨額を投じているが、それは「再稼働」のためであり「安全」のためではない。

 安倍極右政府は、「第5次エネルギー基本計画」を今夏にも閣議決定するとしている。その原案は、「2030年度の電力に占める原子力発電の割合を20パーセントから22パーセントにする」「核燃料サイクル政策は維持し、原発輸出も積極的に進める」などとなっている。安倍極右政府が、原発再稼働に躍起になるのも、破綻した「核燃料サイクル政策」にしがみつくのも、自前の核兵器開発・保有のための技術と施設、そして材料を確保しておくためだ。とりわけ、核兵器の原料になるプルトニウムの大量保有を、「プルサーマルや高速増殖炉で消費するため」と強弁して、正当化するためだ。高速増殖炉・「もんじゅ」の再稼働を断念し、廃炉を決定せざるをえなくなった今も、安倍政府は、高速炉開発をあきらめていない。

 「福島第一原発事故」によって今なお膨大な労働者人民が、被曝―健康破壊と避難―生活破壊を強いられている。「事故」処理現場では多くの労働者たちが、多重請負構造のもと過酷な被曝労働を強いられている。原発労働者、周辺労働者人民の被曝なしには存在しえない原発は、即刻廃止しなければならない。