5・25、5・29、5・31「働き方改革関連一括法」案採決阻止闘争

衆院厚生労働委員会での採決阻止に決起した労働者(5月25日、衆院前)
衆院厚生労働委員会での採決阻止に決起した労働者(5月25日、衆院前)

5・25「働き方改革関連一括法」案の衆院厚生労働委員会での採決阻止―5・29、5、31衆院本会議採決阻止闘争

 

 

5月25日、衆院厚生労働委員会での採決阻止に決起

 

衆院前で、ビラまきと座り込み

 

 5月25日、反安保労研全国センターの呼びかけに応えた闘う労働者は、5月23日につづき、「働き方改革関連一括法(一括法)」案の衆院厚生労働委員会での採決を阻止すべく、国会前に登場し闘いぬいた。東京・山谷日雇労働組合と東京都地域連合労働組合も、この闘いに結集し、闘い抜いた。

 安倍政府は、「一括法」案を4月6日に閣議決定―国会上程し、4月27日の衆院本会議での厚生労働相・加藤の趣旨説明をもって審議入りを強行した。しかし、反革命翼賛国会で「出せば通る」状況を手にした安倍政府は、審議内容なぞ関係なく「一括法」案の「5月下旬衆院通過」を既定方針としている。立憲民主党など野党六党が、「森友学園問題」「財務次官セクハラ問題」で財務相・麻生の辞任などを要求し、すべての委員会での審議を拒否しているにもかかわらず、5月の連休中も野党六党が欠席のまま厚生労働委員会を開催し、「審議時間稼ぎ」を繰り返した。

 5月21日、安倍政府は、翼賛野党である「日本維新の会(維新)」「希望の党(希望)」との間で「一括法」案の「修正」で合意し、厚生労働委員会の開催日である5月23日に委員会採決を強行しようとした。「修正」の内容は、「高度プロフェッショナル制度」を適用された労働者が「自分の意思で撤回できる規定」も盛り込むなどといったものだ。「自分の意思で撤回できる規定」なるものを「一括法」案に盛り込むこと自体、「残業代ゼロ化」など、この「一括法」案の悪辣な狙いを示し、翼賛野党の反労働者性を示している。資本が「高度プロフェッショナル制度」の適用を命令すれば、労働者は拒否できないことが「当たり前」のこととじゅうじゅう知りながら、「修正」なぞとしているということだ。安倍政府と「維新」「希望」の動きに対して、立憲民主党、国民民主党、共産党、自由党、社民党の野党五党と衆院の会派「無所属の会」は、衆院厚生労働委員会の強引な運営は容認できないとして、自民党の衆院厚生労働委員会委員長・高島の解任決議案を衆院に共同で提出した。これによって、厚生労働委員会は中断し、採決はできなかった。5月24日、安倍政府は、衆院本会議を開き、高島の解任決議案を、自民、公明などの反対多数で否決した。

 

委員会採決強行弾劾

 

 5月25日、午前9時、厚生労働委員会での採決が切迫する中、反安保労研全国センターの呼びかけに応えた闘う労働者は、衆院前に登場し、ただちに「『働き方改革関連一括法』案の採決阻止」と大書した横断幕を掲げ、断固たるシュプレヒコールをあげる。「『働き方改革関連』法粉砕!」「『一括法』案粉砕!」「『残業代ゼロ化』粉砕!」「『過労死』拡大法案を粉砕するぞ!」「衆院委員会での採決を阻止するぞ!」「8時間労働制解体を許さないぞ!」。闘う部隊は、アジテーションと国会前を通行する労働者人民へのビラまきを行い、座り込みを開始する。

 この日の厚生労働委員会では、「一括法」案の前提となっている厚生労働省が行なった「2013年労働時間調査」のデータのデタラメさがさらに新たに発覚した。それは、調査対象の企業のデータの二重集計などであり、「2013年労働時間調査」の1万1600件のデータのうち、2割は不正なものであったということだ。しかし、安倍政府は、このようなデタラメな「立法事実」であってもお構いなしに採決を強行しようとした。5月24日の解任決議案否決をうけて、厚生労働委員会委員長・高島は、職権で25日の委員会開催と採決の実施を決めた。これに対して野党側は、午前10時前に厚生労働相・加藤の不信任決議案を提出した。これによって厚生労働委員会は休憩に入り、午後1時から衆院本会議が開かれ、加藤の不信任決議案の採決を行ない、午後4時半過ぎに反対多数で否決した。厚生労働委員会は、午後4時40分過ぎに再開し、午後6時前に委員長・高島が、国民民主党議員の質問の途中であるにもかかわらず、「野党側の質問時間が終了した」として採決を強行し、賛成多数で可決した。

 厚生労働委員会での採決強行―可決の一報が入ると、衆院前でアジテーションと座り込みを闘っていた部隊は、ただちに「採決弾劾」のシュプレヒコールを衆院に対して叩きつけた。この日の闘いを最後まで闘いぬいた部隊は、つづく衆院本会議で採決を絶対阻止する決意を固め、当日の行動を終えていった。

 

5月29日、31日衆院本会議での採決阻止に決起

 

衆院前で、ビラまきと座り込

 

 反安保労研全国センターの呼びかけに応えた闘う労働者は、5月29日、31日と連続して「一括法」案の衆院本会議での採決阻止に決起した。東京・山谷日雇労働組合と東京都地域連合労働組合も、この闘いに結集し、闘い抜いた。

 5月25日、衆院厚生労働委員会での採決を強行した安倍政府は、5月29日の衆院本会議での採決強行を狙っていた。反安保労研全国センターの呼びかけに応えた闘う労働者は、午前9時前には衆院前に登場し、横断幕を掲げ、衆院にむけて「採決阻止!」のシュプレヒコールを叩きつけ、ビラまきと座り込みを開始した。この日、自民党の国対委員長・森山と立憲民主党の国対委員長・辻元が会談した。辻元は、森山に対して「『一括法』案の本会議採決を見送り、30日の衆院厚労委で質疑を行なう」ことを要求した。辻元は、「一括法」案が29日午後の衆院本会議で採決される場合、衆院議院運営委員長・古屋の解任決議案提出を検討していることを記者団に表明した。これを受け、森山は、29日午後の衆院本会議で採決する日程を先送りする方針を辻元に伝えた。これと並行して、与野党は衆院議運委理事会で、29日午後の本会議採決を見送り、31日の本会議で採決する日程で合意した。 

 自民党と衆院第一野党の立憲民主党によるボス交によって「29日採決見送り、31日衆院本会議採決」が決定したというニュースが流れると、衆院前で闘っていた部隊からは、「自民と立憲のボス交だ」「立憲が『野党の格好をつけさせてくれ』と自民に頼んだということだ」「立憲の『一括法』反対もポーズでしかない」という怒りの声が上がった。闘う部隊は、反革命翼賛国会への怒りを込めて「31日の本会議採決阻止するぞ!」「反革命翼賛国会粉砕!」のシュプレヒコールを叩きつけていった。

 

衆院本会議強行採決弾劾

 

 反革命翼賛国会の実態も露骨に、安倍政府と野党が「31日衆院本会議採決」で合意する中、反安保労研全国センターの呼びかけに応えた闘う労働者は、午後1時からの衆院本会議開会を許さず、採決を阻止する闘いを午前11時から衆院前で開始した。衆院に対して「反革命翼賛国会粉砕!」「『一括法』案の本会議採決を阻止するぞ!」とシュプレヒコールを叩きつけ、アジテーションとビラまき、座り込みを開始する。昼休みの時間帯には、全労連と全労協で構成する「雇用共同アクション」がアピール行動を取り組むが、肝心の午後1時からの衆院本会議開会の時点では解散してしまっていた。衆院本会議では、厚生労委員会委員長・高島が「委員会報告」を行なった後、「反対」「賛成」の意見表明が行なわれた後、採決が強行される。午後2時、「一括法」案は、賛成多数で可決された。「反対意見」表明を行なった立憲民主党・長谷川は、「高度プロフェッショナル制度」について、「長時間労働を助長し過労死が増える。懸念が解消されないまま強行採決された」と言い、削除するよう要求した。しかし、採決には同意しているのだから、それは「反対」のポーズでしかない。

 衆院本会議での可決の報が入ると、部隊は、ただちに衆院に対して弾劾のシュプレヒコールを叩きつけ、6月4日から開始される参院での採決阻止の決意を固め、当日の行動を終えていった。

                           〈東京都地域連合労働組合〉