10・20「どうなってるの?マイナンバー 今こそ制度の廃止を! マイナンバー制度、三年の実態を問う集会」開催

10・20 「どうなってるの?マイナンバー 今こそ制度の廃止を!

マイナンバー制度、三年の実態を問う集会」開催

 

                       世田谷地区労事務局長・根本善之

 

 「どうなってるの?マイナンバー 今こそ共通番号制度の廃止を! マイナンバー制度三年の実態を問う集会」(主催:共通番号いらないネット)が、10月20日午後、文京区民センターに商工団体・弁護士・保険医協会・自治体職員・市民運動など80人の参加で開かれた。

 2015年に「共通番号制度」が施行され、3年を経た。総務省は、同「法」施行3年で見直しをするとしています。マイナンバーにかかわる事件が次々明かになり、人権・社会問題となっている。集会は、こうした実態を伝え、「共通番号」利用拡大に反対し、マイナンバーを普及させない闘いへとつなげていくべく開催された。

 

 

 集会主催者である「共通番号いらないネット」が、「私たちが指摘してきた問題点が次々と現実のものとなってきた」と述べ、「共通番号制度」の問題点を報告

 ①総務省は、2017年度、市区町村から事業者に送られる住民税の給与天引き(特別徴収)の税額通知書に「マイナンバー」の記載欄の追加を強行した。通知書誤送付等により多くの自治体で漏洩(286の機関で374件が個人情報保護委員会に報告される)が発生し、総務省は、2018年度以降の通知書への「マイナンバー」記載を中止した。

 ②2015年、日本年金機構からの不正アクセスで125万件の個人情報が漏洩する事件が起き、年金の「マイナンバー」利用が延期された。さらに、年金機構は、2018年3月、「マイナンバー」を記載した扶養親族等申告書の入力業務を委託先の企業が契約で禁止されている再委託をしていた事を公表した。再委託先の入力漏れ、入力ミスにより、15万人の年金支給額が間違っていたことが発覚した。また、同年4月には、別の委託業者の不正再委託では、「マイナンバー」を含む年金情報が再委託先に漏洩していたことが発覚した。にもかかわらず、政府―総務省は、戸籍事務で「マイナンバー」を利用するための法改正や医療・健康・介護情報への利用拡大、「マイナンバーカード」の民間利用の拡大などを進めています。

 各地域、運動領域からの「マイナンバー制度」の実態報告

 静岡市や千葉県佐倉市では、「マイナンバーカード」の交付率は10パーセントくらいで、申請しても20パーセントは受け取りに来ていない。督促の費用もかかり、コンビニ交付は、窓口交付の2パーセントと低迷しているのに、地方公共団体情報システム機構への負担金ばかりかかっている。千葉県議会では、県警への「マイナンバー」を含めた個人情報の提供や利用について質問しても、「捜査手法なので答えられない」との返答で不明なままである。

 商工団体からは、従業員の「マイナンバー」の収集を義務付けられ、その管理も罰則付きで、その負担は重い。企業の利益にならず、中小企業いじめの制度だ。本人が「マイナンバー」を会社に伝えていないにもかかわらず、会社は自治体から「マイナンバー」に記載の特別徴収税額通知書で知ることになり、本人の知らないところで番号が広がっていく危険性も指摘。

 税や社会保障の手続き窓口で、申請者が「マイナンバー」の記入を拒否した場合でも受理することになっている。税務署の確定申告は、「マイナンバー」を書かなくても受理される。しかし、雇用保険では、「申請者本人かを事業者に確認する」と言われた事例が報告。

 これまで個人情報の漏洩に対して、個人情報保護委員会に質問しても、個別のことに答えず、また、国の行政機関や自治体は指導対象でないと門前払いとなっている。「同法改正を目指そう」との提起。

 「マイナンバー違憲訴訟」が全国8ヵ所で争われている。「国は共通番号法に基づき、原告らの個人番号の収集・保存・利用及び提供をしてはならない。原告らの個人情報を削除せよ」との請求に、国側に解明を求めても何も答えないなどの対応と「マイナンバー」漏洩についても、「直ちに被害が生じない」と回答するなど、個人情報保護への疑問も投げかけられた。

 さらに、プライバシーが高い戸籍事務や医療事務への「マイナンバー制度」の利用拡大が進められている。

 医療では、2020年から予定されている被保険者資格のオンライン確認(保険証と「マイナンバーカード」の一本化)が始まろうとしている。これらの医療情報をもとに医療政策や民間企業にも使おうとしている。

 戸籍事務への「マイナンバー付番」について、弁護士は、「番号は、個人を識別するものであって、血縁などの関係を表す続柄を識別する番号にはならない」と制度趣旨との違いを指摘。

 また、セキュリティ対策として、2020年東京オリンピック・パラリンピックの入場者、ボランティア管理に共通番号制度利用も計画・検討されている。「マイナンバーシステムが監視システムへとなる危険性」も指摘。

 

 

 「マイナンバーカード」の交付が2016年1月に始まった。3000万枚交付予定が、2018年7月時点で1467万枚、交付率11・5パーセントと「マイナンバー制度」に人気がない。「マイナンバーカード」を使った住民票などの証明書のコンビニ交付も費用対効果への疑問から利用している市区町村は3分の1以下だという。

 「マイナンバー制度」の実態、問題点を共有し、利用拡大に反対し、「マイナンバーカード」を普及させない闘いを展開し、「マイナンバー制度」の見直し・廃止を求めていこう!