3・15大阪府商工労働部との団体交渉を闘う

「あいりん労働福祉センター」の全景(右は南海電鉄)
「あいりん労働福祉センター」の全景(右は南海電鉄)

3・15 大阪府商工労働部との団体交渉を闘う

 

反戦・反失業を闘う釜ヶ崎労働者の会

 

日本最大の寄せ場=釜ヶ崎の解体攻撃を許すな

 

 3月15日、「反戦・反失業を闘う釜ヶ崎労働者の会(釜ヶ崎労働者の会)」は、「あいりん労働福祉センター」(センター)の建て替えをめぐって、大阪府商工労働部との団体交渉を闘った。

 現在、日本最大の寄せ場・釜ヶ崎では、1970年に建てられたセンターが、耐震基準を満たさないという理由で、建て替えの計画が出ている。2016年7月、当時の大阪市長・橋下は、「現在のセンターの敷地に建て替える。建て替え工事の期間、センターは仮移転する」と発表した。その後、仮移転先については、センターの西側を通る南海電鉄の高架下とされ、これまでセンターに入っていた「西成労働福祉センター」と「あいりん職安」の仮庁舎が建設された。3月11日には、「西成労働福祉センター」の事務機能が仮庁舎に移り、3月31日にはセンターのシャッターが最終的に閉められ、センターで行なっていた「高齢者特別清掃」の紹介事業も仮庁舎に移ることになる。

 「釜ヶ崎労働者の会」は、橋下が「西成特区構想」を発表して以来、寄せ場・釜ヶ崎を解体し、その中心に位置するセンターの敷地を、資本家どもの金儲けの場所にすることを許さないために闘ってきた。センターは、50年前の大阪万博の工事やニュータウン建設工事のために、全国から建設日雇い労働者を集めるために作られた。「日雇雇用保険」の「アブレ金」の手帳も、日雇い労働者を集めるために発行された。そうやって、建設資本が利益を上げるために、「いつでも首が切れる、便利な労働力」として寄せ場・日雇い労働者を利用しておきながら、今になって、使い捨てにする動きを強めている。建設資本は、建設労務供給体制を改編し、寄せ場・釜ヶ崎での求人から下請け業者の宿舎への囲い込みを強め、携帯電話を使った求人に変えてきている。厚生労働省―「あいりん職安」は、不正受給を理由にして、「アブレ金」の手帳の取り上げ攻撃を強めている。これらの釜ヶ崎の寄せ場・日雇い労働者使い捨ての動きが、寄せ場・釜ヶ崎の解体を狙う「西成特区構想」によって決定的になることを許さないために闘ってきた。2014年9月から橋下が「西成特区構想」を推進するために設置した釜ヶ崎のドヤの経営者や町内会、労働団体を集めた「あいりん地区の町づくり検討会議」に対して、「釜ヶ崎の主人公は、ドヤの経営者や行政ではない。泥まみれになって働いてきた労働者だ」「センターを資本家の金儲けの場所にすることを許さない」と、「西成特区構想」粉砕をかかげて闘ってきた。

 3月31日のセンター閉鎖―仮庁舎への全面移転を前にして闘われた大阪府商工労働部との団体交渉は、「①センターの周囲で野宿する労働者を追い出すな②仮庁舎に設置した26台分を超える求人車両を締め出すな」という2点をめぐって行なわれた。センターの周囲には、40人以上が野宿している。センターの閉鎖―仮移転を理由にして、フェンス等を設置し、野宿する労働者を追い出す動きに出ることが予想される。また、仮移転する「西成労働福祉センター」は、早朝から求人に来る業者の駐車スペースを26台分しか用意していない。

早朝からセンターで仕事を探す釜ヶ崎の労働者
早朝からセンターで仕事を探す釜ヶ崎の労働者

「センターの周囲で野宿する労働者を追い出すな」「仮庁舎に設置した26台分を超える求人車両を締め出すな」

 

 しかし、センターに求人に来る業者の車両は、とても26台で納まることはない。26台分を超える求人車両がこれまで通り入れなければ、仕事を探す釜ヶ崎労働者にとって、アブレが強まることになる。耐震強度不足を理由にしたセンターの閉鎖―建て替えによって、釜ヶ崎の労働者がセンター周辺で野宿する場所さえ奪われ、仕事に就く機会を奪われるという不利益を強いられることを許すことはできない。センターの建て替え―仮移転が、釜ヶ崎労働者にアブレ―野垂れ死に攻撃を強めることを許してはならない。

 大阪府商工労働部との団体交渉は、午前10時から住之江区南港の咲州庁舎の会議室で行なわれた。早朝からセンターで団体交渉への結集を呼びかける情宣をやりぬいた「釜ヶ崎労働者の会」は、結集した多くの釜ヶ崎労働者とともに交渉に臨んだ。大阪府商工労働部の担当は、「釜ヶ崎労働者の会」が事前に提出した2点の議題について、「野宿する労働者の問題は、労働施策の問題ではないから」なぞと回答を渋る。しかし、交渉団からの「センター閉鎖を野宿する労働者を追い出すチャンスだと考えているんだろう」という追及に答えざるを得なくなり、「シャッター閉鎖後も、矢板などを立てる予定はありません」と回答する。続いて、求人車両のスペースについても、交渉団から、「26台の駐車スペースで足りるはずがない。26台を超える求人車両を今までの場所から締め出したら、労働者が仕事に就く機会が減る。どうするんだ」と追及の声が飛ぶ。これに対して担当者は、「『西成労働福祉センター』には、車両の出入りを規制する権限はありませんから、『出て行け』とは言えません」と回答してくる。

 センターの建て替え―仮移転をめぐって、焦眉の課題になっていた2点について、「センターの周囲で野宿する労働者を追い出すようなことはしない」「センターを仮移転しても、求人車両を締め出し、労働者が仕事に就く機会を減らすようなことはしない」という回答をかちとった交渉団は、さらに、センターの建て替えの内容をめぐって追及する。担当は、「『あいりん地域まちづくり会議』の『労働施設検討会議』で詰めることになっています。まだ検討中ですが、建て替える敷地は今より広くなります。建て替えされるセンターには、『西成労働福祉センター』と『あいりん職安』が仮庁舎から戻るだけでなく、区民館が入ったり、民間業者が入る可能性があります」と答えてくる。この回答に対して、交渉団からは、「センターが建て替えられ、企業の金儲けの場所に変えられる可能性があるということじゃないか」と怒りの声があがる。

 1時間にわたって追及をやりぬいた交渉団は、ひき続き「西成特区構想」による寄せ場解体を許さないこと、センターの建て替え―仮移転によって、これまでセンターが持っていた、あぶれた労働者が体を休め、労働者同士が交流する「居場所」の機能などが奪われる「センター機能の縮小」攻撃を許さず闘いぬくことを確認して、当日の行動を終えていった。